間質性膀胱炎・膀胱痛症候群(IC/BPS)
間質性膀胱炎・膀胱痛症候群は、膀胱に原因不明の慢性炎症が生じ、膀胱や尿道の粘膜表面を守るバリアに障害が生じ、尿の成分が粘膜に浸みこむことで引き起こされます。これにより、尿が近く感じられる頻尿や、膀胱や尿道に不快感や痛みが生じ、尿がたまるとその痛みが強くなるなど、非常に不快な症状が現れる疾患で再発と寛解を繰り返す症候群です。原因ははっきりしていませんがコーヒー、紅茶、アルコール、炭酸飲料、トマト、バナナ、柑橘類など、特定の食べ物や飲み物が引き金となることが報告されています。一見、過活動膀胱や細菌性の膀胱炎と似た症状が見られますが、実際には異なる病気です。この疾患は非常につらい症状をもたらし、他人に理解されにくいことがあり、それが患者さんの生活の質を著しく損なうこともあります。実際には通常の膀胱炎として抗生剤治療をしているにもかかわらず症状に改善がなく、さまざまな検査をしても原因が特定できない場合に間質性膀胱炎を疑います。膀胱が膨らんだときに痛みが悪化し、膀胱がからになり縮むと痛みが改善するのが特徴です。
間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の検査
尿検査や尿細胞診を調べて、膀胱炎や膀胱がんなど器質的な原因がないかを調べます。膀胱鏡検査では特徴的なHunner病変(膀胱粘膜が赤くただれた状態)と呼ばれる所見や膀胱が広がったとき(尿が溜まった時)に粘膜が裂けることによって起きる五月雨状の出血がみられることがあります。明確な診断方法があるわけではなく、頻尿、膀胱痛などの下部尿路症状があるが、膀胱炎、癌、結石、過活動膀胱などの疾患ではなく、原因がはっきりしない状態を指します。
間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の治療
治療としては生活習慣の改善(原因となる食品を避ける、定期的な排尿など)が第一ですが、飲み薬による薬物治療を試すこともあります。改善しない場合、麻酔下に膀胱水圧拡張術やお薬の膀胱内注入療法を考えます。いずれも比較的効果の見込める治療です。膀胱水圧拡張術は入院が必要ですが、膀胱内薬物注入療法は通院で行うことが可能です。