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過活動膀胱

膀胱に尿が十分溜まっていないのに、膀胱が勝手に収縮するという病気で、急に尿がしたくなって我慢ができず(尿意切迫感)、トイレに何回も行くようになります。また、尿が間に合わずに漏れてしまうこともあります(切迫性尿失禁)。「手を洗う時に冷たい水を触ると急におしっこに行きたくなる」とか、「水の音を聞くとおしっこが我慢できなくなって漏れてしまう」という方がいらっしゃいます。これらは全て、「過活動膀胱」です。

過活動膀胱は日本で1000万人以上の男女が罹患する頻度の多い病気です。脳卒中などの脳や脊髄の病気のために膀胱のコントロールが効かなったり、前立腺肥大症による排尿障害のために膀胱が過敏になるなどの原因で発生しますが、加齢により起こったり、原因不明であったりすることも少なくありません。

過活動膀胱の原因

尿が膀胱にたまるとその情報が脳に伝わり、脳が排尿の指令を出し、骨盤底筋と括約筋が協力して膀胱を収縮させ、尿を尿道に排出するという連携によって成り立っています。しかし、過活動膀胱と呼ばれる病態では、膀胱がまだ尿がたまるほどでない状態で、不随意な収縮を起こし、急激な強い尿意を生じます。

おもな発症のメカニズムについてはまだはっきりしていない部分も多くありますが、膀胱を支配している神経の障害によるものと、神経とは関係ないものの二つに分けられます。

神経の障害によるものとしては脳出血や脳梗塞などの脳疾患、変形性脊椎症や椎間板ヘルニアなどの脊髄疾患、糖尿病にともなう末梢神経障害などがあげられます。

神経以外の発症メカニズムとして生活習慣病があります。肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などは心臓や血管の病気のハイリスクとなりますが、過活動膀胱などの下部尿路症状の悪化とも関連があるとされています。血管の老化とともにヒトは老いていくといわれていますが、膀胱への細い血管の動脈硬化によって血流障害がおきることで排尿や畜尿の機能が低下すると考えられています。

また、カフェインやアルコールの過剰摂取も膀胱の知覚過敏を引き起こす要因です。

過活動膀胱の検査

症状が初めて現れた時期、症状の内容や変化、日常生活における症状の影響について質問します。過活動膀胱症状質問票(OABSS)などの診断ツールを使用して、症状の程度を評価することがあります。

ご自宅で排尿日誌という日誌をつけてもらいます。3日間以上、摂取した水分量、排尿回数、尿意切迫感の有無、夜間頻尿の回数などを記録することで、原因の特定と治療効果の確認に役立ちます。

また、尿検査で尿潜血や炎症の兆候など症状が他の原因でないかを確認します。尿潜血が陽性の場合、詳細な検査が必要となります。

超音波検査は、尿路結石や膀胱腫瘍などを確認するために行います。男性の場合、前立腺の状態を評価するためにも利用されます。女性にとっても、子宮と膀胱の位置関係などを確認するのに役立ちます。

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療では、まず潜在的な病気が原因でないかを確認することが不可欠です。また、適切な治療方法を見つけるために、患者さんの症状、年齢、ライフスタイルに合わせたアプローチが必要です。過活動膀胱には薬物治療と行動療法の組み合わせが一般的に用いられます。

薬物療法に用いる薬は主に2種類あり、膀胱全体を緩める薬(β3アドレナリン受容体刺激薬)と膀胱の勝手な収縮を抑える薬(抗コリン薬)があります。β3アドレナリン受容体刺激薬は膀胱を全体的に緩めて広がりやすくすることで尿が溜まりやすくなり、トイレに行く回数が減るという効果があります。抗コリン薬は膀胱の弛緩を促し症状を緩和する効果がありますが、副作用として口や目の渇き、便秘などを引き起こすことがあります。専門医のもとで処方され、症状と副作用のバランスを調整することが大切です。

行動療法としては骨盤底筋体操と膀胱訓練があります。

骨盤底筋体操は骨盤底の筋肉と尿道括約筋を強化するためのトレーニングです。このトレーニングは、時間がかかることもありますが、筋力は年齢に関係なく改善できます。簡単な方法としては10秒間尿道括約筋をしめて、10秒間緩めるという運動を10回1セット、を1日の中で5セットくらいやると効果があります。シンプルなため非常に簡単にできるトレーニング方法ですが、毎日継続的に行うことが重要です。

膀胱訓練は排尿の衝動をコントロールするためのトレーニングです。ご自宅で排尿を我慢し、その時間を徐々に延ばすことで膀胱容量を増加させます。薬物治療と併用すると効果的です。自宅で簡単にできる治療法で、具体的には尿意を催してから排尿を我慢して、決められた時間が来たら排尿するという方法です。全体として4人に3人は効果がでます。

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