尿路結石症(腎結石、尿管結石、膀胱結石)
尿路結石症は、腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患です。泌尿器科の外来でみられる疾患の中では最も頻度の高い疾患のひとつです。特に壮年男性と閉経後女性に高頻度にみられます。
尿路結石の原因
多くの場合は、生活習慣が原因です。水分摂取量が少ないために尿が濃縮されることや動物性たんぱく質の取りすぎ、シュウ酸の過剰摂取、プリン体の過剰摂取、カルシウムの不足などが原因となります。尿路結石のほとんどはシュウ酸カルシウム結石ですが、プリン体の過剰摂取により起きる場合は尿酸結石となります。生活習慣による原因が改善されることは少ないため、尿路結石は再発率が非常に大きい疾患です。
尿路結石の症状
腎結石は無症状で経過することが多いため、検診の超音波検査などで偶然発見されることもあります。腰部の鈍痛の自覚や、感染結石のために膿尿や細菌尿のみを認めることもあります。
尿管結石は疝痛発作(突然に生じる激しい痛み)と血尿が典型的な症状です。腎結石は無症候のうちに経過することが多いですが、これが尿管内に落下し、結石による尿流閉塞と腎盂内圧の急上昇によって、腰背部から側腹部にかけて激痛や下腹部への放散痛が生じます。夜間や早朝に起きることが多いことも特徴です。一部は腎盂腎炎を併発し、高熱を呈することもあり、その場合は緊急の処置が必要となることもあります。下部尿管に位置する結石では同時に膀胱刺激症状を伴うこともあり、頻尿、残尿感が起こります。
膀胱結石は膀胱刺激症状の他、尿流の途絶(石が詰まって尿が出せなくなる)が生じることがあります。 膀胱結石は原因が異なり、排尿障害が原因のことがほとんどです。前立腺肥大症や神経因性膀胱、尿道狭窄などにより、尿の出が悪く残尿が多い状態がつづくと、尿がうっ滞して膀胱内に結石ができやすくなります。
結石の排出時には、通常、排尿痛や違和感を伴いますが、無自覚に排石されることもあります。 5㎜未満の結石の場合、自然排石率は68%、5〜10㎜の結石では47%とされています。排石されるまでの期間はケースバイケースですが、数カ月たっても自然排石しない場合には破砕治療が必要になります。
尿路結石の検査
レントゲンや超音波検査を行い、石の大きさや水腎症(石が引っかかって尿の流れが悪くなると腎臓に尿が溜まってしまう)がないかを調べます。尿検査で血尿を調べたり、検査結果次第では血液検査を行い腎臓の数値が悪くなっていないかどうかを調べます。
尿路結石の治療
結石の治療はサイズなどにもよりますが、まずは水分をよく摂り、内服薬などで自然排石を図る保存的加療を行うことが多いです。結石のサイズが大きい場合や排石が難しい場合、結石を砕く「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」や「経尿道的尿管砕石術(TUL)」を検討します。ESWLは体外から衝撃波を当て結石を破砕する治療で、低侵襲で行うことができる一方で、硬い結石の場合にはなかなか破砕できず何度も繰り返して受ける必要があります。TULは全身麻酔下にて手術室で行う治療になります。数日間の入院が必要ですが、直接内視鏡を尿管へ挿入し、目視で結石を確認しながらレーザーで破砕するため破砕の効率は高いとされています。