前立腺癌
前立腺癌は中高年の男性に多く発症し、特に50歳以上での発症リスクが高まります。早期発見のためにはPSA(前立腺特異抗原)検査が有用であり、定期的に健康診断や人間ドックで受けることが推奨されています。近年は高齢化、PSA検査の普及により急速に増加しており、男性における癌罹患数1位となっています。年齢と共に前立腺癌の罹患率は上昇していきますが、80歳を超えた男性の20~30%程度が前立腺癌に罹患しているという報告もあります。
一般的には比較的ゆっくりと進行するため、寿命には影響しない場合もありますが、中には命にかかわるような進行癌も存在します。つまり早期発見し、適切に診断・治療などのマネジメントを行えば日常生活の質を維持しながら長く生きることができるのが前立腺癌の特徴です。
前立腺癌の検査
血液検査によるPSA値の測定に加えて、超音波検査やMRI検査を行います。確定診断には前立腺針生検にて組織を採取し、顕微鏡で癌がいるかどうか確認する必要があります。生検は砕石位という仰向けで足を開いた状態で肛門から超音波の機械を挿入して前立腺を画像で見ながら針を10本程度刺して組織を採取します。検査自体は15〜30分程度で終わりますが、検査の合併症として出血症状(直腸出血、血尿)や発熱、排尿障害などがないか観察するために1泊入院することが多いです。
前立腺癌の治療
前立腺癌の治療法は現状で数多くあり、どの治療が最適なのかはリスク分類、年齢や全身状態、併存疾患、期待余命、患者さんの考え方を基に決めていくことになります。
主な根治的な治療法としては手術療法、放射線療法、内分泌(ホルモン)療法があります。
手術
前立腺全摘除術。最近はロボット手術で行われることがほとんどで体に負担の少ない低侵襲な治療とされています。特徴的な合併症として術後の尿もれと勃起障害があります。比較的若く、全身状態が良好な場合に適応になります。
放射線治療
前立腺に放射線を放出する物質を密封したものを埋め込む組織内照射という方法と体の外から照射する体外照射があります。手術と比べ体への負担は少なく、尿もれを起こしにくいのが特徴です。急性期の副作用として頻尿や排尿時痛があり、長期的な副作用として5%程度で出血症状(血尿、直腸出血)があります。
内分泌治療(ホルモン療法)
飲み薬や注射薬を使用し男性ホルモンを低下させる治療です。前立腺癌のエサである男性ホルモンを抑えることで、兵糧攻めにあったがん細胞は縮小します。注意点は、がん細胞の多くはホルモン療法で死滅、弱りますが、時間とともにホルモン療法が効かない細胞が産まれ、いずれホルモン療法が効かなくなってしまう可能性がある点です。そのため手術や放射線を積極的に勧められない合併症をお持ちの方やご高齢の方が対象となることが多いです。
当院では戸田中央総合病院と連携し、手術・放射線治療をご希望の方もスムーズに行うことができます。また経過フォローに関しても当院にて行うことが可能です。また、内分泌治療に関しては当院にて治療を行なっていただくことが可能です。