前立腺炎
前立腺炎は、尿道から侵入した細菌によって起こる細菌性前立腺炎と非細菌性前立腺炎があり、いずれも排尿時の痛み以外に、頻尿、会陰部(陰嚢と肛門の間の部位)の不快感や痛みなどの症状が現れます。
急性前立腺炎
原因としては尿道から前立腺に細菌(大腸菌など)が侵入してくることが多いです。急性前立腺炎の主な症状には、発熱、排尿時の痛み、頻尿、排尿困難などがあります。
診察では尿検査や直腸診を行い、尿の培養検査などを行なって原因菌を検索します。症状が重い場合には血液検査を行うこともあります。また前立腺が浮腫むため尿が出にくくなり、場合によっては尿道カテーテルを入れなくてはならないこともあります。治療は抗生剤の内服や点滴ですが、糖尿病など基礎疾患をお持ちの場合には重症化して命にかかわることがありますので、必要に応じて入院が必要となることもあります。
当院では戸田中央総合病院と緊密に連携し入院が必要な場合はスムーズに治療ができるよう体制を整えています。
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群
慢性前立腺炎の原因ははっきりと特定されていませんが、前立腺への血流障害、骨盤の感覚神経の異常、性ホルモンや副腎ホルモンの異常などが指摘されています。また、急性前立腺炎が慢性化することもありますが、必ずしも細菌感染による炎症というわけではありません。20~40歳代の若い年齢層でも見られ、ツーリングや自転車が趣味の方、テレワークなどで座りっぱなしの時間が長い方などは特に注意が必要です。主な症状は、会陰部や下腹部、尿道、股間、睾丸、陰茎などの痛みや不快感、頻尿、残尿感、排尿痛、射精時の痛みなどです。症状や尿検査の結果から抗生剤で治療を開始することが多いですが、なかなか改善しないという場合に慢性前立腺炎を疑います。症状はさまざまで骨盤内のあらゆる不快な症状が含まれます。薬物療法により炎症を抑えることが基本的な治療方針です。また、薬物治療だけでなく、生活習慣の改善(禁煙、飲酒を控える、ストレス管理、運動)も大切です。